ながのでテックで生きていくことと #NSEG 12月勉強会について


まずいきなり言い訳だけれども、そうでないひともいくらかはいるだろう。そうでないいくらかのひとを僕も知っている。でも僕が知っている大多数のひとはこうである。というおハナシ。それはお前の世間が狭いのだと嗤うならそれもまたよし。

長野県で、いやもしかして長野市周辺で?テック系のヒトとして生きていくには、どういう風であることが多いのかということを、関係各位を敵にまわしながら書いてみよう。

まずこの地域はかつて「富士通王国」と呼ばれた地域である。昭和の頃に比べると全国並に製造工場が減った影響で、今はそれほどでもないけれども、そうはいってもコの (コンピューターの) 業界も富士通の影響が強い。

それを証拠に、いわいるこの界隈で「SE」を名乗っているひとは、普通に富士通さんのウォーターフォールの工程用語を口にする。

「もうPG済んでるからPTまわしてIT終わったらSTだから」

とか、「そんな略語知ってて当然」 みたいな前提で言われて「アニ言ってんだコイツ?」と思ったのはどうやらその場で自分だけらしいと気がついてドギモを抜かれたことを思い出す。

僕はもともとパソコン用の作曲ソフトとかを作ってたヒトだったので、そういう「常識」を知らないばかりかそもそも地元のギョーカイとほとんど接点を持たずに最初の10年ぐらいを生きていたのであった。

で、まあもちろん富士通さん以外にもNECさんとかのいわいるメーカー系SV (Software Vendor;ソフトウェア開発会社) さんがいらして、他にも公共系をよく担当される老舗大手の独立系SVさんがいらして、そういう大きいところと長いことおつきあいされてる中堅どころのSVさんがいらして、そしてもっと小さいSVさんがいて、と、いわいるゼネコン構造になっている。これはたぶん地方なら多くのところがあまり変わらないだろう。

いわいる「Web製作」をしているところは、印刷関係の会社がチラシなどをDTPで作ってた延長で Webもはじめたというところが多く、実は長野は印刷・出版系の企業が地方にしては妙に多かったりするのだけれども、それについてはまた別の話題。

SI系にハナシを戻すと、いわいる大手のSVさんから下請けに仕事がまわってくる…のならいいけれども、実際には大手のSVさんやその客先に常駐して、自分の勤務先から「特定派遣」として出向している場合が多いのが実情。これについては地方に限らず首都圏もそうだというハナシをきくし、派遣法改正されたし、今後どうなるのかしらと思ったりする。

さて、長野県は実は製造業が大変多く、従業員数百名程度の中規模企業がとても多い。もちろんそういう企業でコンピューターは使われており、それぞれの企業に情報システム部門が存在する。

じゃあそういうところでシステムを内製しているかというと、なかなかソレが本業でない企業がそういう部門にリソースを潤沢に割り当てるべきという感覚を持ってくれているところは決して多くなく、情シス担当者は内製部隊を組織するよりかは、いわいる社外の専門のSVさんに依頼をしてシステム開発をしてもらうという形態になっているところが大変に多い。

じゃあ前述の大手SVさんはそういう企業から開発を受注して…となっているのかと思いきや、いやかつてはそういうのが主流の時代もあったのかもしれないけれど、実は首都圏を中心とした県外のSVさんに相談することの方が多いのである。なぜなら、そうしたほうがコストパフォーマンスが高い場合が多いから。

では大手のSVさんはどうしているのかというと、メーカー系はもちろん全国区なので、首都圏の部隊が受注した案件の開発を担当する。全体ならいいけどその一部のみだったりすることもある。もちろんその下請けはそのまたほんの一部のみの担当だったりする。

独立系SVさんも首都圏に営業部隊を組織して、首都圏から仕事をひっぱってくる。

地元の企業で設備投資資金のあるところは、県外、特に首都圏のベンダーに相談して、首都圏から地元の開発会社に実際のシゴトが降りてくる。ならまだいいけど、全然違う地方の開発部隊が担当していたりすることもある。

繰り返しいうけど、すべてがそうだと言っているわけではない。だけれども、こういうケースは決して珍しいわけではないということ。

さて、地方で、というと他の地方のことは知らないので、「長野で」と言わせてもらうけれども、こういう状況で「長野でテック系で生きていく」ことって、どんだけ良いことなんだろうか。と思ったりする。

長野に住んでいて、例えば進んだシゴトやかっこいいシゴトはできるのだろうか。ある意味プログラミングを生業にしているひとって、そのシゴトがかっこいいものだと思ったことは少なくとも1度はあるでしょう?

やっぱりテックのシゴトをするには首都圏に行くのがベターなんだろうか。実際一部の例外を除いて、ニホンのWeb系企業の有名ドコロはほとんど東京に集中しているのが実情だし。

そして、少なくとも今現在というか、ここ最近はそのとおりだったりする。

えーなんだかこれから地元でがんばろうと思っている若いヒトの夢も希望も打ち砕くようなハナシかもしれませんけども。

ただし、それははたしていつまでそうなのだろうか?というのが今回の本題。前置きがなげー

例えば、最近長野県 (県庁) は「ハッカソン」を開催するようになった。これはよくしらんけど、たぶん他都道府県で同様のイベントをやった成功例から講師やメンターの方を招いて開催するということなのではないかなと。

また、今後は県外、特に首都圏から「IT系企業」を積極的に誘致するということもやっているようである。

結構なことではある。たいへん良い。でも、もともと長野でテックで生きてきたひとたち (僕らね僕ら) の立場はどうなんだろうか。

まあそういうことを推進しているひとからみたら、今まで地元のそういう人たちがなにがしかできたならとっくになにがしかできているだろうし、そうでないんだから外部からヒトを招いた方がてっとり早いと思うのはもっともなハナシかもしれない。つまり、文句を言うけど文句言ってる僕ら (とゆーか僕) の方に問題があったのかもしれない。いや知らんけど。

有名なお若いライターの方が「まだ東京で消耗してるの?」などと言って地方に拠点を移されたりしているというのも、そういう意味ではいいハナシなのかもしれない。でも、それって東京だと消耗するから地方に移ったのであって、東京が消耗しないところになったらやっぱり東京の方がいいのかもしれないってことなのだろうか?

少なくも誘致された企業は「環境がいいから」「人件費や物価が安いから」地方に移ってきたのだとしたら、状況が変わればもちろんすぐ別のところに移るでしょう。だってそうやって移ってきた人たちなんだしね。

ちょっと脱線した。
首都圏にテックなシゴトが集中しているのは、いったいいつまでなんだろうか。

例えばWeb系の企業は、やっぱり近場で固まっていた方がいろいろとやりやすいであろうことは日本に限らずアメリカでもそうだったりするので、そこはそう簡単に大きくは変わらないかもしれない。

SI系の案件が今東京に多いのって、大手銀行とかの基幹システムがリプレースされるようなハナシが多いからだったり、近年高まっているセキュリティ事案への対応だったり、そういうことだったりするんだと思う。

東京オリンピックが終わったあと、どうなるんだろうか。

長野のひとたちは知っている。オリンピックが終わったあとの寒風吹きすさびっプリを。正直言って長野市周辺はやっと近年あのショックから立ち直りつつあると言っても過言でないと僕は思っているのだけれど。

まだ長野は全然マシで、むしろ良かったことの方が多いのだろうけれども、近年オリンピック会場になった海外の都市はオリンピック終了後になかなかヒドい有様になっているなんてこともたまに報道されていたりする。ほんとかどうかはしらないけどね。

東京は東京だし、夏季五輪だし、長野のようにはならないさ、という意見が大勢のようだけれど。

今とにかく「IT技術者不足」と言われていて、首都圏には全国からエンジニアが集結しているのだろうと思うのだけれど。

オリンピックの後あたりに、首都圏のエンジニアが余剰になったりしないんだろうか。

そしたら、たぶん地方にみんな移るしかなくなるよね。で、そのとき地方でテックで生きてきた人たちはどうなるんだろうか。

そして、その後また首都圏に需要が移ったら…。それはもうぺんぺん草も生えないような有様になっちゃったりしないだろうか。

もうその頃のことを想定して動き始めた方がいいんじゃないかと僕は漠然と思っている。

首都圏から優秀なエンジニアがたくさんくれば、そもそも需要の少ない地方では雇用が溢れてしまうかもしれない。しかし、そもそも本当に需要が少ないのだろうか?だって企業はたくさんあって、県外の開発会社に外注しているじゃない?

まず中規模企業が内製するようになったらどうなんだろう。そうでないとしても、「ワタシら開発者の範囲はここまで」なんて線を引くのではない、発注元企業の業務内容にまで踏み込んで提案するような開発会社が増えたらどうだろう。

アジャイル開発」という言葉が魔法の杖のように言われることがあって、「ウォーターフォールは時代遅れ、アジャイルこそ世界の常識。だからやりましょう」みたいな論調で言われることが多い気がする。

正直そんなこと言われても、小さい開発会社で1つのチームが1人とか2人とかで動いているようなところに、テスト駆動で開発しろとかペアプログラミングしろとか言われても、なにバカ言ってんのよって世界だったりする。

たぶん、本当はそんなことじゃないと思う。

発注側であるユーザーが「金払うからアンタタチの責任でうまくやって」ではなく、自分の問題として開発会社といっしょにシステム開発を推進していくこと。また、受注側である開発会社が「ウチができるのはここまでであとはお客側の問題」ではなく、ユーザー企業の問題を自分の問題として、お互いにのめり込んでシステム開発をしていけるような状態を作ることが「アジャイル」の本質なんじゃないか。と僕は思っている。思っているけど実践できているかといわれると、まあできていないんだけどさ。

というわけで、その仮説が正しければ、「アジャイル開発は世界のジョーシキだから」とか「それによって品質がよくなるから」とかいうよりは、それによって、地方でテックで生きているひとたちのモチベーションが変わって、結果的に現在のちょっとかしがった構造も変わったりするのかもしれない。だったら、やってみる価値はあるかもしれない。

だとしたら、むしろこれは開発者だけでなく、発注側というか受け入れ側であるユーザー企業の情シス部門の方にとっての問題も大きいのかもしれない。

もともと僕は上に書いたように、音楽のソフトを作っていたり、ミュージシャンのサイトを作っていたりということからはじまって、新規事業開発とか自社サービス開発とか、そういうことが自分のシゴトだと思って長らく業界の末席を汚してきた。

しかし、ここんとこ現在の勤務先の「情シス部門」としての部分にも関わることも増えてきて、地元のそれこそ老舗の有名システム代理店さんやら実際にアジャイルな開発を実践されている県外から来られた方やらとお付き合いさせていただくようになって、そんなことを誇大妄想するようになった次第だったりする。

というわけで、もんもんと妄想しているだけでなくて、1歩だけでも踏み出してみよう、というのが、長野のIT勉強会NSEG 12月の「スクラム体験ワークショップ 1DAYプログラム お試し版」である。ひさびさに幹事をやらせていただく。

今回大変心強いパートナーさんに特別に無料でワークショップを開催していただけるということになったので、これはもう NSEG 常連の皆さんだけでなく、是非いろんな分野の多くの方に参加してもらって、良かったにせよ悪かったにせよ、なんらか感じていただければ、いやもちろん僕もまだそのワークショップ受講したわけでないので同じ立場なんだけど、僕自身もそこからなにがしか感じることができるといいなと思っていたりする。

皆様大勢の方に参加いただけるとなにより。


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